ひっそりと美仏

山奥の小さなお堂で、長い年月 多くの人に知られることもなく
静かに時を刻んできた仏さま。“かくれ里”という言葉が多くの人の郷愁を誘い
その仏様の辿った歴史とドラマに強くひかれることがあります。

でも、そんなひっそりとした山里ではなく、
のどかな田畑とたくさんの工場が並ぶ町の郊外といった
ごくありきたりな風景の中に、その仏様はいらっしゃいました。

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   熊凝山 「額安寺(かくあんじ)」

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絵に造詣の深い奈良倶楽部さんが、昨年 織田広喜画伯が奉納された
油絵「天の川」を見たいということで、私は「額安寺」という名前さえ知らずに
付いて行ったのですが、案内していただいた本堂で私達を迎えてくれたのは、
とても美しい十一面観音菩薩像でした。

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額安寺は、7世紀に聖徳太子によって建立された学問道場「熊凝精舎」を
前身とする歴史の古いお寺で、斑鳩の里にも近く、建立時には法隆寺に
匹敵するほどの伽藍を誇る大寺院だったとか。

推古天皇が額にできた瘡が治るようにと祈願したところ
あとかたもなく平癒し、“額(ひたい)安らかなる寺”として
「額安寺」の寺号を賜ったと伝えられているそうです。

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本堂の御本尊は「十一面観音菩薩像」
室町中期の作ということですが、お寺の衰退により扉を閉められた厨子の中に
ひっそりといらしたおかげで、美しい彩色がいまも色鮮やかに残ってる御像

そしてもうひとつ、驚いたのが
日本最古の虚空像菩薩像(奈良時代 重要文化財)が、この額安寺にあるということ。
とても小柄な仏様ですが、その優しい佇まいは、1300年の歴史を刻むこの寺に
ふさわしい気品に満ちています。

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幾多の戦火で衰退の一途を辿り、一時は廃寺にひとしいほど荒れ果てた寺院でしたが
聖徳太子ゆかりの学問道場を亡くしてはいけないと
先代のご住職が私財をなげうって復興に尽力されました。

歴史の表舞台にでることもなく、忘れられたお寺や仏像が
奈良にはまだまだ残っているのですね。

特別深い信仰心を持っているわけではありませんが、
この仏様にお会いできたのもなにかのご縁。
「たくさんのひとに、この仏様を知ってもらいたい」というお寺の方のご意向もあり
今回、ご紹介させていただきました。

ご一緒した奈良倶楽部さんがブログの中で、
額安寺についての詳しい由来を紹介してくださっています。
織田画伯が奉納された「天の川」についても、こちらをご覧くださいね。

       
      額安寺(かくあんじ)

   住所:奈良県大和郡山市額田部寺町36
   tel:0743-59-1128
   拝観料:400円
   近鉄橿原線「平端」駅より徒歩15分。

私達は車で行ったのですが、額安寺は住宅地の中にあり、
お寺までの道路も狭くて、ちょっとわかりずらいかもしれません。
通りすがりの方にお聞きしたり、ふたりで地図とにらめっこしながら、
やっとのことでたどり着きました。
前もってお寺の方に詳しい道順をお聞きするなどして
おでかけされた方がいいかもしれません。

「せっかく素敵な仏様に会いに行ったのに、迷子になっちゃった」
なんてことがありませんように^^

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